東京科学大学は、6月14日(日)大岡山キャンパスにて、「東京科学大学理工学系キャンパスビジット2026」を開催しました。本機構は、模擬講義「言葉を生み出すAIの仕組みと人間のルール:LLMと著作権」を、本館のM-178講義室にて、実施しました。90名の高校生、高専生の皆様にご参加いただき、大学での実践的な学びを体感していただける貴重な機会となりました。
本講義は、奥村特任教授が司会進行をつとめ、急速に発展する生成AIについて、「LLM(large language model:大規模言語モデル)」と「著作権」の両面から楽しく理解することを目的に、3名の教員によるリレー形式で行われました。
最初に、情報理工学院 柳澤渓甫准教授が、ChatGPTなどを例に挙げながら、LLMの基本原理を解説しました。AIが文脈から次の単語を確率的に予測して繋げている仕組みや、言葉を数値化する分散表現(ベクトル)、現在の中核技術であるトランスフォーマーの概念について、高校数学の知識と結びつけながら分かりやすく紐解きました。
次に、鈴木健二特任教授が、技術的な前提を踏まえ、大量のデータをAIに学習させる際の法的な課題について解説しました。日本はAI学習に寛容な傾向がありますが、クリエイターの権利とのバランスや新聞記事の無断利用など、国内外で議論や訴訟が起きている現状を紹介しました。また、データを集める「クローリング」の実演を交えながら、社会的な問題となった事例を挙げ、誰もが簡単に使える時代だからこそ、法制度や倫理をセットで学ぶ大切さを強調しました。
最後に、小野功機構長が、データサイエンス・AI全学教育プログラムについて紹介しました。本教育プログラムは、情報系の学生だけでなく、すべての専門分野の学生を対象に科目を提供しています。データサイエンス・AIの技術を単に使うだけでなく、その裏側の仕組みや限界を正しく理解し、自身の専門分野と掛け合わせて新しい付加価値を生み出す人材の育成を目指しています。
講義中には、参加者の皆様からスマートフォンを通じてリアルタイムで多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。また、参加者アンケートからは「LLMの構造とその進化、法律上の扱いについて、多角的な観点から意欲的に知識を得ることができた。LLMを利活用する過程で法や倫理に抵触せずにより大きな利益を生むためにも、今後も継続してLLMに関心を持ち、様々な分野で能率的に活用することを目指したい」「自分の興味のあることでも、まだ知らないことがまだまだあることを知ることができた。また、大学での講義の雰囲気を実際に感じることができてとてもよかったと思う。また、実際に講義を受けることで勉強に対するモチベーションの向上にも繋がった」などの声が寄せられました。
意欲的に講義へ参加し、貴重なご意見を寄せてくださった皆様に、心より御礼申し上げます。